2014/09/24

秋夕(チュソク)の風景。

あわわ。
9月は足早に過ぎていく。
この月はけっこういろいろと思うところあって、書きたいネタは胸にあたためていたのに。
あたためすぎてもう腐乱しかけている。
それでも思い出しベースで無理矢理書き留めておこう。

秋夕…チュソク(旧暦のお盆)は、韓国では正月と同じくらい大切な節目で。
ご馳走を並べ、ご先祖を招く祭祀(チェサ)をする。
最近では連休のレジャーで海外旅行など行っちゃう人も多いらしいが、周りで聞くかぎりではおおかたが実家に帰り、家族や親戚とすごす。

私はこちらで帰る実家なんぞはないけれど。
チュソク直前の週末、(自分の)買い物のために市場めぐりをしてみた。


普通の路上の秋の芸術に、目がとまる。

うちの近所の古い市場も、やけに盛況だ。チュソクの食材の買い出しに奥様方の財布は開く。つられて私もなんだか訳もなく買いそうになってしまうので気をつけねばならぬ。


むやみに色鮮やかなのだ。これは、松餅というおもち。(Tシャツの豹が狙ってる…)
海苔とか唐辛子粉とか、いたってフツーの買い物をしたあと、思い立って、南大門市場(ナムデムンシジャン)に行ってみた。


南大門市場は、運動会のように万国旗。
別にチュソクのためではなく、いつものことだけど。

ところが、見誤ったのは、
チュソク休み前ということで、市場の洋品店は午後早い時間から軒並み店仕舞いしていたのだ。友人の子どもの服を見つくろいに来たのに…。なめてはならん、チュソク。

南大門市場のように、もはや都心で観光客だらけの見世物市場なところでも
面白いなあと思うのは、こういう風景。



洋服を売り出している露店の目の前で、ナマの鶏肉さばいてます。
ザ・混沌。



目抜きのうまいもん通りでは、これでもか!と食材が。
その場でじゅーじゅー焼いているからそそられないわけがない。ええもちろん、パンツとかももひきとか売ってる前で。


この「ぶっ刺し果物」を見て、新宿のアルタ近くの果物屋を思い出し、郷愁に駆られるとは。なんだかなあ。

何か屋台で食べたくなって、さんざんフラついた挙げ句、威勢のいいおばちゃんにつられてホットバー(魚のすり身の練り物を串刺しにして揚げたもの)を買うが、
1本3000ウォンも取られて、やられたーと思う。普通その半額でしょ。
しかも「アツアツだよ!」って言うから買ったのに、目の前でレンジでチンしやがって…
都心の屋台は油断なりません。

腹の虫をおさめるために、地元にもどって行きつけの(?)屋台で。


いつも無愛想なおばちゃんに、途中で買った缶ビールを見せて恐る恐る「ここで飲んでいい?」と聞くと、「飲んだらいいじゃあないかい」と男前な返事。
プシュ、ふう。……ってオイ。屋台に缶ビールで落ち着くお一人様、もはや後戻りのできないところに来た気がする。

去年のチュソクには、帰る実家のない侘しさを充分味わった。大学の寮だったため、周りの食堂は軒並み閉まっており、他の留学生のルームメイトたちと泣く泣くコンビニ弁当と缶ビールで満月に乾杯したのだった。

そんなわけで、今年のチュソク休みは、わたくし今度こそ実家に帰らせていただきます!という勢いで、
日本に滞在することにした。つづく。