2016/01/06

招かざる訪問者。

引っ越して3週間たった今日の夕方の出来事。

買い物から帰ってきて、荷物を置いた直後にドンドンドンと玄関ドアを叩く音。
誰ですか?とドア越しに聞くと、
「○○確認ですよー」とおばちゃんの声がした。

確認ですよって言われても全然イミがわからない。
恐る恐るドアを開けると、まるで町内会会長のようなアジュモニ(おばちゃん)が何やら書類を持って、ドアの隙間から玄関にのしのし入ってきた。
「最近引っ越して来たのよね?ハイここ(と書類を差し)、世帯主の名前…あってる?アナタの名前入ってないけど…ああそう、新婚なのね」
書類の件名には「転入確認書/通帳確認書」と書いてあった…ような気がしたが、これ何ですか?と聞く前に、アジュモニは無遠慮に部屋を眺めまわし、
「あらー、内装やったのねー、キレイにしてるわねえ。ちょっといい(わよね)?」
と、ずかずか入ってくるではないか。
居間をぐるりと見て「あらあ、広く感じるわねえ」「本が好きなのねえ(=本棚しかないわねえ)」と。「あ…まだモノがあんまりないもんで」と、ついこっちがヒクツに応答してしまう。

「あらあら、これなあに?!すてきねえ!」と目を付けられたのは、格子の形に開くブラインドで、「どこで買ったの?いくらだった?」とたたみかけてくる。
さすがにこの辺で(やっと)我に返って「で、ご用件は?」と言いかけたタイミングで、アジュモニは転入確認の書類のサインを求めてきた。

ところが、書類の確認もそこそこに。
「旦那は?まだ帰ってきてないの?遅いわねえ」
「あなたいくつ?あらそんなお年なの?若く見えるわ。…なんで結婚がそんなに遅かったの」
「子どもは?いないのね?まあ早く作らなきゃね」
「旦那の出身地はどこ?あなたは?」
「働いているの?週何日?何時出勤?」
久しぶりに見知らぬ人の厚顔無恥力に圧倒され、腹が立つより呆気にとられ、思わず一問一答してしまう私。

そんでもって。
「明日は何するの?」と幼稚園の友だちのような無邪気な質問をされた後、
「教会には通ってる?」と聞かれて、ようやく再びハッと我に返った。
「いいえ」と答えたら、まるで心外というような表情で「なんで?」と聞かれたので、
「わたし仏教徒ですから」とまじめな顔で答えておいた。
「そう…私もね昔は違ったんだけど、教会でイエス様にお祈りしたら病気が治ったのよ、それ以来イエス様を信じるのよね。で、明日1時間くらい時間あったら教会に…」
「いや、無理っす」
「どうして」
「私にはお釈迦様がいますから。」

また何か言い出しそうなアジュモニをやっと玄関先まで追いやった。
出る間際にアジュモニが残した言葉は、(開けっ放しだった)トイレを見て「あらここも改築したのね…いくらだった?」
「知りません、覚えてません」

玄関を出ながらアジュモニは、
「イエス様を信じなさい〜」
と言い放って、去っていった。

いやあ。
正月+週末は家でダレていた自分に、このアジュモニの登場は
青唐辛子並みの刺激でした。
油断ならぬなあ、と思った新居生活。

というわけで、この機に「引っ越し顛末記」をちょっとずつ思い出しながら書いてみようと思う。

つづく。(つづかないかもしれない)