猛暑注意報が流れるほど暑い週末。
ちょっと前に大雨が来たり、台風の噂もあって、あら今年は梅雨らしい梅雨が来るなあと思ってたけど、また連日猛暑。
私は夏が大好きなので、暑いのはそれほど苦じゃない。
けっこう年を取ってきたのに、相変わらず夏好きなのは、まだ体力があるということでありがたいことと思いたい。
だけどこの7月は、私の好きな典型的な夏のイメージ=青のペンキをぶちまけたような空、まっ白な入道雲、カルピス、みたいな=にはまだ遠く、じとっと重たい暑さだ。からりと晴れた青空が見えないのは、大気汚染のせいかもしれぬ。
夏の一番切ない時間帯は、ほの明るい夕方だと思う。
古びた団地の両マンションに切り取られたすきまに夕暮れを見たら、
なんだか胸苦しくて、無闇に人恋しくなる。
こういうときに、外でビールを飲みたいのですよ。しんみりと。
ほんとに。
と、思っていたら、外に出かけた師匠から珍しくコールが。
「いま家の近くで○○と飲んでるんだけど、迎えにきてほしい状況になった」
と、ナメたことを抜かす。でも、外でビール飲めるかも!という思いで、速攻駆けつける。
団地の目の前の道路を挟んで、飲み屋街が並んでいる。
夏の夜は連日、外がにぎやか。
行って見たらば師匠は夜風に吹かれてウトウトしている。
相手にしてくれていた友人の○○さんと、ビールと焼酎で乾杯しながら、旅行の話などをする。
夜の熱気、がやがやした飲み屋街の騒音、時折とおりぬける風。
そんな中、プラスチックのテーブルでビールを傾けていたら、アジアを旅行した20代の頃を思い出した。
ーー若い頃って、ほんとに怖い物知らずでした。ネットもない時代に、1人でバックパック背負っていろんなとこ行って。怖いこともあったけど、事故も無くいまこうしているのがフシギなくらい。でもやっぱり、旅に行って良かったって思います
そんな私の言葉を、相手はどれくらい理解したかわからないけど。
確かにいま、バックパックで一人旅に出る勇気があるか、自信がない。20年前のあの頃よりも、世界は不穏で不安に思える。それは、私が年を取っていろんな情報が耳に入って、保守的になってきたせいなのか、…それとも、本当に世界が非平和の方向に向かっているからなのか。わからない。前者だと思いたい。
ねむねむの師匠を起こして、帰路につく。徒歩5分の旅。
守るべきものー家族ーができると、保身になる。守るべきものができるというのは、強さだけではなく、弱さにもなり得るのだと思った。
はじけるような熱狂の夏は、私にはもう来ないかもしれない。いや、十数年たって忘れたころにやってくるかもしれない。
わけのわからないことを思いながら、ほろ酔いで家に着く。