長い冬が終わって、4月。桜はいつの間にか咲きあっという間に散り、なんだか飾り物みたいであまり心に響かなかったな、と思った。4月は、悲しみが漂っていた季節でもある。
気がつけば、ジャケットを手に持って袖まくりして歩く季節になっていた。ソウルの人は暑さに敏感というか、さっさとTシャツ姿で歩いている。
空が青く、空気に密度を感じる。そうして見回してみると、新緑のなんと力強いことか。
バスから眺める街路樹が、うんと枝葉をのばして、風に揺れているのを見るだけで心が躍る。なにか、黙って日々を過ごしていてはもったいないようでどきどきする。
それで週末、ふいに思い立って、
地下鉄とバスを乗り継いで2時間半、西海の北にある島に行ってみた。
なんの計画もなく行ったので、着いてから適当にぶらぶらする。
なんとなく、標識に沿って山の方へと歩いてみたら、
思ったより傾斜のきつい山道で、はあはあ言いながら登りきると、古い城郭の跡地にたどり着いた。
登ってみたら拍子抜けするくらい小さい山だったけど、遠くに海が見え、陸地が見える。
後で聞いたところによると、それは朝鮮(北朝鮮)の地だった。
ソウルからでも、車で2時間ほど走ればDMZ(非武装地帯)にたどり着く。
ここは朝鮮半島であって、私はその南側にいるのだ。ということを改めて思う。
それが「フツー」であればよいのに。
こんなに、緑は一斉にあおあおとしているのに。山も海も、そもそも誰のものでもないのに。
そんなことを、考えたり考えなかったりしながら、ぶらり一人散策を満喫した。
夜は友人の経営するゲストハウスで、まったり。
都市を離れて、緑のなかへ。そんなことも割と気軽にできるのが、ソウルという市のサイズだと思う。
(韓国へ来て、ちょっと時間があるなら江華島の旅もよいです。ゲストハウス(asacasac guesthouse)をオススメしときます。ちょい宣伝。)