2014/08/10

風邪はお客さま。

前回(健康がいちばん。)に引き続き、

風邪が思いがけず長引いた。

風邪ひき始めの日に、早朝便で日本に行ったり、そのために前夜はチムジルバンに泊まって床で雑魚寝したり、昼間からビール飲んだり、小雨のなか花火を見たりしたから、自業自得なのはよくわかっている。まあそれら全部、精神的にはたいへん癒やしになったのだけど。

喉がつぶれて、かすれかすれの桂銀淑ヴォイス(←分かる人だけ分かっていただければよいです)のまま1週間。
ある日、仕事でお世話になっているJ牧師にどうしたんだと聞かれ、「冷房に当たって風邪を引きました」と言ったところ、
「冷房が風邪の原因ではないでしょう。身体のバランスが崩れていたので、冷房の寒気に身体が負けたんです」
と、諭された。
J牧師いわく、風邪は病気ではない、と。
いわく。韓国語で風邪を「감기(感気)」というが、これは身体が「気」を「感じる」ということ。
「気」はエネルギーのことで、これは分散している方がよい。だから「気分がよい」というのは気がうまく分かれてバランスがよいことを言うし、「気分が悪い」のは気が集中して凝り固まっている状態を言う。
身体が気の変調を「感」じて、「感気(風邪)」が起こる。熱が出たりするのは、汗をかいて老廃物を出すためである。だから、熱を抑えようとしてはいけない。出し切ってしまうこと。
西洋医学は病気を悪と考えて、症状をなくそうとする。そこへ資本主義が結びついて、大量の薬投与や病院治療が一般化したのだ。

…と、西洋医学と資本主義の批判に話がいたるJ牧師。東洋医学に造詣が深い。
へー、と面白く拝聴していた。

「東洋の考えでは、感気はお客さまなのだよ。
 自分の体に感気がやってきたら、丁重に迎えなきゃならん。
 栄養のあるおいしい食べ物を与えて、ゆっくり休んでいただく。
 するとお客は満足してすぐに帰って行かれるよ。
 しかし、忙しいとかなにかを理由に、ろくな食べ物を与えず、休みもせず働いてると、
 お客は怒って、いつまでも居座ってしまう」

なるほどー。
すごくしっくりと来る話だった。

つい「風邪ぐらいで」と思って日常通りに過ごそうとしてしまうし、
市販の風邪薬に頼って、はやく治そうとしてしまう。そのくせ、夜更かししてる。
なにより、「大して働いてもいないのに、体調を崩して休むなんて何だかすみません」という、出所のよくわからない罪悪感が働いてしまう癖がある。

J牧師のお話をありがたく拝受して
この週末はマッサージを堪能し、思うさまだらだらと過ごしているのであります。