2013/02/20

到着。

「今年の韓国の冬は例年より寒いぞ」
とさんざん脅されてきた韓国の仁川空港で、わたしは汗をかいていた。
空港に限らず、韓国の屋内は暖房が効きすぎる。
合計25キロの荷物をひっぱってふうふうと外に出ると、汗を吸ったヒートテックの下着が急激に冷えた。
今日から1年間、ここでの生活が始まる。
外国とは思えない、でも故郷とも思えない、となりの国。遠い親戚のおばさんみたいな存在の国。
なんともいえない、中途半端な気分で目的の駅に向かうバスに乗りこんだ。

エアポートバスではない市内バスにばかでかいトランクを持ち込むと、乗客に一斉に白い眼で見られた(ような気がした)。
「いくらですか」と聞くと運転手は「交通カードはないのか」と言う。いま海外から着いたのに持ってるわけないじゃないか。いや、空港についたらまず両替・ローミング・交通カード、が今や常識なのか?
1万ウォン札を出すと「釣りがないから1万ウォン札はだめだ」とむげに言う。…バスはもう走り出して、空港からだいぶ離れているというのに。
カードはないし釣りはないし、途方に暮れていたら、運転手は硬貨投入箱のボタンを連打してじゃらんじゃらんと500ウォン硬貨を出しはじめた。
まさかな、と思ったら「ほれ、お釣りだ」。7800円ウォン分の硬貨が手のひらいっぱいに盛られた。
しょっぱなから、そんな韓国の洗礼を受けたのだった。