2013/02/23

女子トークと韓国ブランド。

ルームメイトのゴンちゃん(ベトナム)とジェイ(タイ)と、最初の挨拶のあとで一番盛り上がった会話。

「ねえ、えちゅーりーって知ってる?」とジェイがわたしに声をかける。
?? なんの単語だろう、それ。
「スキンフードは?」
あー!Skin FoodとETUDEね。韓国コスメのことか。
タイでは、Skin FoodやETUDEが女の子に大人気で、輸入ものだからとても高いそうだ。
ジェイはここでどちらかのコスメを欲しいらしい。ところが。
「Skin Foodは良くないらしいよ」と横からゴンちゃん。
「韓国の友達が言ってたけど、Skin Foodは韓国ではあんまり人気ないって」
「えー、そうなの?!」
「Nature Republicがいいらしいよ」
「そうなの?あなたは何を使ってる?」
「私はNature Republicのは1つだけ持ってるんだけど…」

その会話の流れを、なんだか感慨深く眺めた。
最初の、ぎこちない英語での自己紹介的会話の壁を一気に砕いたぞ、コスメの話題!

後日、ショッピングセンターに行ったときも、
化粧品を選ぶジェイの真剣な目ときたらなかった。
あんな目で授業中討論をふっかけられたら完全に負けてしまうだろう。
かたや、ゴンちゃんはコスメにはそれほど執着はないようだが、
毎晩ベッドにノートPCを持ち込んで、韓国ポップスかドラマのDVDを見続けている。
どうりで、韓国語が流暢&韓国情報通になるわけだ。

その後、寮の隣りの部屋にインドネシアからのダダ(ニックネーム)がやってきた。
体は小柄だが、口も笑い声もでっかい、いかにも活動的な元気はつらつ40代女性のダダ。
ダダとジェイを連れて、日用品を揃えるために再びショッピングセンターへ。

大型ショッピングセンターで、ダダは目を輝かせてわくわくキョロキョロしている。
「韓国製品がたくさんね。インドネシアも韓国製品がたくさんよ!」
そうなんだー…。例えばどんなものが?
「なんでも。電化製品、ファッション、コスメ、ドラマ、ポップス、オール フロム コリア!」

韓国は製品だけでなく、ポップカルチャーを国策としてアジアに輸出している。というか、製品の輸出増強のためにポップカルチャーを輸出している。
…というのはどなたか解説者がテレビで論じていたことだが、
その善し悪しや戦略は、これからもうちょっと勉強しなきゃならない課題。
アジアを、韓流ブームは完全に席巻している。日本でだけじゃないことは百も承知だったけれど、改めてその量と範囲は想像以上だったかも。

「韓国は好き?」とダダに聞いてみた。あえて、韓国のものは、とはせずに。

「Yes! We like!」とダダは屈託なく答えた。
韓国ポップスの鼻歌まじりで。

うーん……。
なにか複雑な気持ちは拭えない。いや、韓流、いいんだけどね。
文化の人気ではなくポップカルチャーの人気と言うのは、商業ベースの「文化」だけの流出だから。新しいものも軽いものも、悪いわけじゃないんだけど、表面だけが急流に乗ってだくだくと流れて行く。そこに国の面(おもて)を乗せて。
でも実際、韓国のことを好きなアジア人が増える。嫌いより好きな方がいい。
でもやっぱり、表面だけ好いてもたかが知れる。むしろ深い関わりを拒むことになっちゃうのではないか。
うんぬん。
何てことをためつすがめつ考えている。
そのとき、自分自身の立ち位置を、韓国に置いたり日本に置いたり、距離感をはかりかねていることに気づく。

ま、ぐちゃぐちゃ考える前にドラマの1本でも見通してみないとな。