2013/02/24

そもそも。

そもそも、何で韓国留学なのにベトナムやタイやインドネシアの寮生が出てくるのかというと。
話は昨年の秋に遡る。

10月のある日、とある大学の知り合いの先生から電話があった。
「あのねー、前に話した韓国のS大学の大学院にアナタ推薦しようと思うんだけど、受けてみたら。とてもいい内容だから。でねー、悪いんだけど週明けにとりあえずの返事をもらえないかな」

え、ええ?!
ちょっと待って、前に話したっていっても何ヶ月も前だし、しかも飲みの席だったし、
大体なんの話だったかうろ覚えだし、なのに、週明けに返事だとう!
と、突っ込みどころが満載すぎて、テンションの上がっていたわたしは先生にとりあえず全部いっぺんに突っ込んだ。
が、話の中身はあまり変わらなかった。
後日、忙しい先生を捕まえて話を聞き、やっとわかったのが、
韓国のS大大学院に、アジア各国のNGOや活動機関で働いていた、あるいはこれから働きたい人を鼓舞し、より活発なアクティビストに育てるための「アジアNGO学」という専攻がある。ここに入る学生はほぼ全員アジア各国からの留学生で、学費は100%奨学金がおりる、という夢のような話だった。

夢のような話だ。だけどそりゃ迷った。
いまの仕事がある。日本での生活もある。恋人と愛猫もいる。年齢も年齢だ。すべてを置いていけるのか、わたし! …ところが。
「ま、大学院といっても授業は1年だけどね」
と言われ、なんだか一人盛り上がっていた決意のハードルがカクンと下がる。

とはいえ、これはおっきなチャンスだ。
ずっとずっと胸の中に溜まっていた問題、解けていない宿題を、
じっくり考えて解く時間をあげるよ、と神様か誰かさまが言ってくれたのだ。

「行かせていただきたいです」
と返事してから、また一曲二曲の紆余曲折があったが、それはさておき。

留学かー…
考えもしていなかった突然の展開に、少しふわふわっとなりつつも、
頭のイタい大問題があった。それは、英語。
留学生ばかりの授業と、寮をともにする日常生活は、英語なのだった。

韓国語だったらなんぼかマシだけど、それでも大学院の授業を聞くのは大変だろうに。
ここへきて、とうとうわたしの前に立ちはだかるのか、英語よ。
推薦してくださった先生に「先生、わたし英語があまりできません」と控えめに言ってみたけれど、
「大丈夫大丈夫、世界を飛び回る団体で活動してた人が、英語できないわけないでしょー」
と。…はは、そう思いますよね。こりゃお恥ずかしい限りで…。

そういうわけで、なんだかんだあって(省略)アッという間に時はすぎ、
いま、ここソウル市の端っこに位置するS大学の寮にいるわけだ。

思いがけない展開の最中に、テンパる私に推薦者である先生がかけてくれた言葉は、

「人生、思いがけないものですよ。ハハハ」。

ちなみに、その先生はアクティビストな韓国人である。